「トレジャー」は大学受験の参考書・問題集の老舗である「Z会」が編纂したテキストで、2003年に誕生しました。
「プログレス」がオーラル・アプローチで音声を重視し、英語圏の文化や歴史を中心に英語を学ぶことを主眼として編纂されたのに比べ、大学入試を意識して英文の絶対量や語彙数を増やすことを主眼として編纂されたのが「トレジャー」です。
英文を読んで語彙量を増やす手法は、Z会にとっては「速読英単語」の例をひくまでもなく得意中の得意といっても良いわけです。 しかし、英文の絶対量が多いことも確かで・・・・・予習・復習にかなり時間をとられます。
「トレジャー」を採用している私立中は、雙葉中、早稲田実業中、浦和明の星女子中、共立女子中、巣鴨中、本郷中、市川中、江戸川取手中、春日部共栄中、獨協埼玉中など多数にのぼるのですが・・・・・我々にとって、頭のイタイことがあるのです。
それは・・・・・Z会が塾に対して「トレジャー」を販売してくれないことです。
業界に詳しい方ならご存知だと思いますが・・・・・検定教科書は出版部数が見込めるため、出版社側も価格を安くできるという良さがあります。そして、それに付随する教科書ガイドや準拠ドリルなどの販売利益もあります。また、文部科学省の検定教科書であれば、教科書に準拠した問題集などは書店でも購入できます。
「新中学問題集」や「シリウス」(いずれ稿を変えて書くつもりです)などは、塾・学校専用教材であるため、我々は購入することが可能ですし、「プログレス」や「プログレス21」についてもエクセレントゼミナールではすべて揃えてあります。ところが、「トレジャー」については生徒の使用している教材をコピーしないと、対策教材が作れないわけです。しかも・・・・・2010年度からは、コミュニケーション力と論理的思考力の双方を強化した「ニュー・トレジャー」を投入する予定だそうですから、さらに頭がイタイ話です。
「体系数学」や「サクシード」、「4ステップ」などの数研出版の数学教材については、編集方針の差異はあれ、掲載されている問題が変化するだけですから、我々にとってはその場で何とかできるのですが・・・・・・国語や英語は本文を読まないと教えることができない場合が多いので、すごく面倒で手間がかかるのです。
難関私立中の生徒が、必ずしも英語を自学自習できる生徒ばかりだとは限りません。そして、「プログレス」や「プログレス21」、「トレジャー」で扱う英文は多量ですから、学校の授業で全て解説し、生徒が消化しているわけではなく、未消化でわかっていない部分もたくさん残るわけです。中学で初めて習う英語という科目で、英和辞書をひくのもおぼつかない中学生が、どれだけ自力救済できるのかは難しいところだと思うのですが・・・・・皆さんはどう思いますか? ちなみに、麻布中時代に自力救済に失敗し、英語に対する苦手意識が作られてしまった私です(苦笑)。この記事が参考になったという方は、応援クリックお願いいたします!!
たしかに生徒から教材を借りてからでは
時間の問題から大変そうですね
でも10年度版が手に入れば翌年はちょっとは楽になるんでしょうかね
そんなに毎年著しく変わるものなのでしょうか?
参考になりました(^^)
出来る子は違うってことですね!
先生について、色々教えてくれてありがとうございました!さっそく甥っ子に伝えたいと思います♪
こんな天気ばかりイヤだなぁ〜。。。
英語学習初心者には厳しいです。
つきっきりで教えています。
入学してすぐ膨大な予習復習の量です。
自学自習でとりこぼし無しとはとても言えず、心配です。男子は英語嫌いになる確立が高いと言いますし・・・。
古い記事ですが、最近のニュートレジャー対策に情報がありましたら教えてください。
コメントありがとうございます!!
「ニュートレジャー」は我々にも販売してくれませんので、エクセレントゼミナールでは、生徒から借りてコピーした上で、レッスン別に、内部生用に対策教材を作成しています(順次鋭意作成中)
「ニュートレジャー」は「Read」の文章などは確かに新しい題材を使っていて・・・・学校の英語の先生が好みそうな構成ですが・・・・英文法を初めて習う中学生が自学自習できる教材ではありません。
「ニュートレジャー」はZ会が作った私立中高向けの英語教材ですから、Z会の通信添削の中高一貫コースがニュートレジャーに対応していますが・・・個人的には、良く独占禁止法に抵触しないものだと思います(苦笑)
しかし、ただでさえ量が多いニュートレジャーに通信添削教材まで加えて自学しなさい、というのは泳げない人を船から海に突き落とすようなものですから、お気をつけください(苦笑)
いずれにしろ、指導者がいなくても語学ができるようになる生徒はほぼいません。したがって、最初こそ良いコーチについてきちんと学習の基礎を固めて、学習ノウハウを学ぶべきなのです。
したがって、最初は誰かがついて文法事項を教えてあげないとキツイと思います。
ちなみに・・・私が個人指導を担当している中3の生徒は、やはり「ニュートレジャー3」を使っているので、学校で学習する前に、レッスン内容を解説してあげています。つまり、学校で習う内容と演習が「復習」になるようにしてあげているわけです。そのかいがあってか、最近では英語アレルギーが治りつつあるようです。
強い薬は毒になりかねませんから・・・・学校側ももう少し処方箋を考えて欲しいものですね(苦笑)
気になることが書かれているのでコメントします。
まず、検定教科書の価格については出版社が決めているわけではありません。
毎年、科目毎に国が定価を決めているのです。
だから、教科書には必ず「文部科学大臣が認可し官報で告示した」価格が定価だと記載されているのです。
z会のトレジャーの件、冗談とは思いますが、独占禁止法には抵触などしないと思います。
むしろ、著作権保護の観点から、許可なしに営利目的にて解説教材を作られているならば、そのことのほうが法律に抵触しているといえませんか?
ブログ本文およびコメントに不適切な表現があったことをお詫びいたします。もちろん、独占禁止法うんぬんというのは冗談です(苦笑)
ただ、誤解されると困るのですが・・・ニュートレジャーの解説教材は、内部生の定期テスト前に配る補助プリントとして作成しているのであって、営利目的での活用は一切しておりません。
つまり、学校の教科書や授業についての試験対策というのは、本来ならば市販の教科書ガイドやドリルを使って、生徒自身が自主的に学習すべきなのですが・・・ニュートレジャーについてはそういった教科書ガイドの類がまったく市販されていないため、定期テストのたびに、和訳が欲しいとか対策プリントが欲しいという生徒がとても多いので、私の作業の効率化を図る意味で、事前に作成したものを定期テストの範囲に合わせて配布しているに過ぎません。
本来ならば、著作権をお持ちのZ会出版さん自身が対策教材を販売すればシンプルなのですが、そうはいかないところに教育現場のひずみが現れているのを感じるわけです。
私が普段の授業で教える科目は数学・算数・理科ですが・・・定期テスト前になるとやたら英語の質問が増えて、本来の科目を教えられず困っていたので、ニュートレジャー対策教材を自作したまでです(苦笑)
これらの背景を踏まえてご理解いただければ幸いです。
事情はよく分かりました。
ただ、そのような形でならOKなのか、というと私はZ会の関係者ではないので分かりません。
なぜならテキスト、参考書、問題集のなかには「解説解答書」の類を無断作成することをお断りしているものがあるからです。
トレジャーがそのような教材ならば、営利目的云々以前の問題があるわけです。
とにかく、出版社に勤めている者の気持ちとして、教材は我が子同様であり、一生懸命作成しておりますから、正しく教材を御使用いただきたい、と願っております。
コピーをして使用していることは確かに著作権法上問題があるかもしれません。
しかし、「トレジャー」を販売しないのはまずいと思います。おそらく独禁法に違反していると思います。
公取に相談してみるとよいです。
アドバイスありがとうございます。
著作権の保護は大切ですが、最新の記事や情報を授業で扱うことは生徒のためを考えれば不可避なので、著作権者の利益を害さなければ授業で使っても良いだろうと私は解釈しております。
我が子も偏差値低めのアクティブラーニングの学校に入り、ニュートレジャーで英語は完全に失敗しました。
学校が合わず中3から転校したのですが、未だに英語が苦手なままです。
こちらの教材は充分なフォローが必要なうえ、難関校の生徒でも厳しいというので少し安堵しました。
高校で立ち直ってくれることを願います。
昨今はニュートレジャーから離れて通常の学校英語教材(クラウンやニューホライズンなど)を採用する私立中が増えてきています。
しかしそれは、通常の学校英語教材が、小学校での英語授業開始以前に比べると格段に難しくなっているからです。
小学校での英語授業が会話中心でほとんど文法を扱わないにもかかわらず、文科省の指導要領に沿って、小学校で履修済みだからという理由でハイペースで英語学習が進んでいくのです。
学校教科書ですから、市販のワークなどが充実しているため、自学自習はしやすいといえますが、新しい文法事項を学習するペースはニュートレジャーとあまり変わらないといえます。
語学学習という観点から言えば、外国語を履修する場合は最初の反復練習がもっとも大切なので、もっと基礎に時間をかけるべきなのですが・・・それは小学校で習っているから、続きから入るよ、というカリキュラムになっています。
プログラミングなどの新しい科目も増え、大学入学共通テストの読解量が格段に増えている等からもわかるように、深くじっくり考えるよりも、処理スピードが速くないと時間内に解き終わらないテストが増える傾向といえます。
本当はもっとゆっくりであっても、しっかりと身につく勉強スタイルのほうが、急がば回れで良いと思うのですが・・・お子様の英語の苦手意識がなくなることを願ってやみません。
塾の先生のご意見は大変参考になります。
下の子が都立中学に入ったのですが、こちらも英語に手こずっております。
教科書はプログレスを使用しており、ご存知かもしれませんが文法をまとめた表とか一切なくて。
課題は、ラジオの基礎英語だのプリントが出るので、東大に入るのか?というぐらい毎晩遅くまで勉強しており。
にも関わらず、簡単な文法についてちょくちょく聞いてきます。
御三家とかより実績も低いし、なんだか非効率に思えてしまいます。
これは教科書が悪いのか。
文科省が悪いのか。
学校の先生のやり方が悪いのか。
何が悪いのでしょうか。
プログレスは、もともとはフリン牧師が日本の英語教育に一石を投じるために作った英語教科書です。Bookごとにイギリスやアメリカを題材に扱っていて、英語圏の文化的な背景知識などを学ぶには面白いテキストです。
プログレスは30年ほど前にかなり流行った英語教材で、麻布、雙葉、光塩などのミッション校から流行し、早稲田や世田谷学園などの私立中学で採用されました。
ただ、初版が出てからかなり年数がたったため、ニュープログレスが編纂され現在に至っています。
語学の習得法にはいくつか代表的なものがあります。一例を挙げればフォニックス。いわば、耳から学んで会話によるやりとりを中心に英語を習得する方法です。
このやり方は、低年齢の子どもに母国語のように習得させるには良いと思いますが、一般的には臨界期が早いため、中学生では遅いのが普通です。
中学受験などを通じて論理的な勉強に慣れている子どもであれば、文法による言語構造理解のほうが向くと思うのですが・・・ある意味文法的な間違いをマイナス評価しないようにしないと英語が嫌いになります。
英語で英作文が苦手になる最大の原因は減点方式にあると思っています。低学年の子供がスペルを間違っていてもたしなめる程度で済ませる大人が、相手が中学生や高校生になると間違いを指摘してやり込めてしまう。結果として、間違うのが怖くなり書かなくなるという悪循環を生むわけです。
その意味では、語学は楽しく学習するのが良いのですが・・・学校の科目になると成績を出さねばならないので、余計プレッシャーがかかりイヤになる(苦笑)
まじめな学生ほどこの傾向が強いと思います。この悪循環を断ち切るには、最初に思い切りスタートダッシュを図り、英語を絶対的な得意科目にしてしまうことなのですが・・・この最初の暗示に投資しない親御さんがすごく多いのが日本の悪いところだと思っています。
つまり、一年生程度の英語なら自分たちでも教えられるからお金と時間をかけるまでもないと考えるわけです。
スポーツや音楽で最初にトッププロに習うとその後の伸びが全然違います。しかし、なまじ勉強となると・・・昔、優秀な生徒だった親御さんが多いせいか、つい学校のノウハウを信じる(苦笑)
開成でも麻布でも海城でも、学校が英語力を伸ばした進学校はありませんよ(自分と教え子たちの経験談です・・苦笑)
たまたま教え方の上手な熱意のある英語教師に当たった方がラッキーなだけで、それはその先生の教え方がうまかったからできるようになっただけです。
プログレスであれ、ニュートレジャーであれ、ニューホライズンであれ、万能な教科書などないのです。ならばどの教科書を使えばよいのか・・・私見ですが、いろいろな傍用教材が豊富な教科書から、自分に合った補助教材を使って勉強するのが良いと思います。その意味では、日本的な英文法の順序と違った学習進度になっているプログレスは使いづらいと思います。
ひたすら長文になってしまって申し訳なかったのですが・・・もしも本当にお困りなれば、エクセレントゼミナール宛に連絡いただければご相談にのります(無料ですのでご安心ください)ので、困ったときはおっしゃってください。
なるほど、それぞれのテキストに色々な歴史があるのですね。
プログレスの息子の方は、公文の文法と、ちょこっとできるような薄い文法ドリルを併用させるようにしました。
課題の傍ら、それを見ながらやっているようです。
もとニュートレジャーの息子は、仰るとおり減点方式の英作文で0点が並んでいたので。
間違っている部分ではなく、出来ている部分を褒めたら翌日から少しこなすようになりました。英語では実績を出している学校なので、やる気さえ出たら実力が付きそうな気がします。
色々熱く語って下さりどうも有難うございます。そちらは家から遠いので、通うのは難しく。そうですね、塾に通うのも一手ですね。
様子を見て検討したいと思います。
外国語の習得は最初がすべてだとウチのベテラン英語教師はよく言います。
さらに言えば、その人にとっての学習ノウハウが確立するまではすべての学習者は五里霧中にいるようなものですから、テキストや参考書、ノートその他問題集にいたるまで、あったものを選ぶ必要があります。
その子の学習段階に合わせて、常に状態をチェックし、理解と定着を見守り、その都度課題(問題)に関する解決法を提示(教える)のがコーチである塾や家庭教師の仕事だと思っております。
何かありましたら、またコメントを書き込んでくださいね。