「入試対策として、どのような勉強をすれば良いのでしょうか?」という御父母の質問に対して、「とにかく過去問を何度も解いてください」と回答する入試担当の先生がいらっしゃるようですが・・・・・これは本当に正しいアプローチなのでしょうか?
正解は・・・・・・「半分は正しく、半分は間違っている」となります(苦笑)
つまり、オリジナリティの高い入試問題では、その出題内容や解法をマスターするために再度反復練習が必要な場合がありますが、そうでない場合は、もう一度解くことに時間を割くことになりますし、生徒本人が解答を覚えている場合も多いので、あまりオススメできません。
私のようなプロから見ると、本当にオリジナリティの高い問題というのは、実はかなり少ないといえます。
中学入試でオリジナリティの高い出題をする学校というのは、かなり限られていて・・・・・一見すると新傾向問題(あまりテキストには掲載されていないタイプの問題)に思える問題であっても、過去に灘中、麻布中、開成中などで出題された問題であったり、20年ほど前の東大の過去問を中学入試向けにアレンジしたものだったりするわけです。
これには理由があって・・・・・小学生が受験する中学入試問題でオリジナリティの高い問題を出題しようとして作問すると、作問者の意図に反して、極端に正答率が低下してしまい、生徒を選別するのに不適な問題となってしまうことが多いためです。
ですから、オリジナリティの高い問題を出題できる中学校というのは、必然的に超難関校になってしまうわけです。
学校によっては、一度過去問で出題した設問を数年後に再度出題する場合もありますが(茗渓中の理科のカマキリを描かせる設問など)、市販の過去問題集に掲載されている期間にもう一度同じ問題を出題するというのは稀な例です。
したがって、よほど昔に解いたのでない限り、時間を計ってもう一度同じ過去問を解くことは、受験生にとっては時間のムダになりますから・・・・・・それならば、その中学校のライバル校の最近の入試問題を解きましょう(笑)
入試問題の作問者は、ライバル校やトップ校がどのような問題を出題しているのかは必ず参考にしています。つまり、それらを参考にしながら自校の受験者層に合わせた問題を作成するほうが、テストとしてより良い問題になることを経験的に知っているのです。
私のように、長い期間にわたって中学入試に携わっていると、「あぁ、この理科の問題は15年ぐらい前のラサール中の理科の焼き直しだな。」というようにわかるのですが(イラストの図まで全く同じだったこともあります・・・・苦笑)、父母の皆さんはそんなことはわからないのが普通です(わかる人がいたら脱帽です・・・・笑)
エクセレントゼミナールにある入試問題データベース(過去15年以上に及ぶ難関中の入試問題)と私の頭の中にある難問データベース(オリジナリティの高い問題は何年ぐらい前にどこの中学で出題されたかはたいてい覚えています)をつき合わせると面白い結果が発見できそうな気もしますが・・・・・いつまでたっても、そんな時間が取れそうな気がしません(苦笑) そんなわけで、「過去問を再度解く場合は、あまり解いたことのないオリジナリティの高い問題のみ」に限ってください。 この記事が参考になった方は応援クリックをお願いいたします!!
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2011年10月26日
中学受験の歩き方:「一度解いた過去問を何度も解く」って本当?
posted by 主宰 at 02:00| Comment(2)
| 中学受験の歩き方
過去問を知らない生徒にとって易しいと思うかどうかは別の話ですね。
生徒にとって知らない灘の過去問は難しいに決まってますよ。
おっしゃるとおりです。
中学入試問題を作成するのは普段、中学生や高校生を教えている先生方ですから、ついつい難しい問題を作りがちなんです(苦笑)
特に新たに中学を開設した学校などでは、受験者層がわからないため、入試問題の難度がブレる傾向があります。
中学入試では、きちんと問題の趣旨に沿って解ける良問の出題が好ましいと思うのですが・・・受験者を選抜する要素が強いために結果として難問が多くなるようですね。